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寄与分とは?

相続の際「寄与分」も考慮されます。寄与分がある場合、相続人は遺産を多めにもらえるのですが、そもそも「寄与分」とは一体何を意味する言葉なのでしょうか?

相続人に与えられる利益です

 相続とは遺産を継ぐことです。この考え方に間違いはないのですが、遺産とは財産です。財産の維持や増加のために貢献した人に対して、一種の「功労賞」とも言うべきものが寄与分となります。
例えばですが、故人の晩年に付きっきりで介護をしたり、あるいは仕事を辞めてまで一緒にいたり。他の相続人よりも明らかに距離が近いとか、故人のために時間やお金を割いたりという人は、遺産を少し多めにもらえるというものです。心情的には「それは当たり前」と思うかもしれないのですが、寄与分でもまた、トラブルになることが多いのです。

「遺産」というニンジンを前にすると…

 例えば3人兄弟で長女、あるいは長男など一番上の人間が介護などを世話したり、頻繁に故人の家まで行くだけではなく、同居させたりなど懇切丁寧に世話をしたのに「遺産は3分の1ずつ」の方が世知辛いものです。
もちろんそれらの世話は遺産のためではないとしても、「それとこれとは別。だから遺産は3分の1ずつ」は少々味気ないですし、他の相続人としても頭では「少し多めにもらっても良い」と思っても、遺産の分配になると「それは遺言書に明記されているのか」「いくら寄与分だからと言っても、もらいすぎではないのか」と、どうしてもトラブルになってしまうのです。
頭では「親(故人)の面倒を一番見てくれた」と分かっていても、いざ自分の目の前に遺産という「ニンジン」をぶら下げられてしまうと、どうしても「多くもらいたい」心理が芽生えてくるのです。

寄与分とは

ではこの「寄与分」とは、一体どれだけ認められるものなのかというと、親族間の扶養義務を尽くすだけでは認められません。「親類なら当たり前」ではなく、「親類でもそこまでするのか」というくらいのことをしなければ貢献が認められないのです。
たまにお見舞いに行く程度では、残念ながら寄与分として認められることはないでしょう。
本来であれば介護を雇うようなシチュエーションでも、介護ではなく自分で行う。つまりは自分が時間を割いているだけではなく、本来はお金が発生するようなことを自らで行っていますので、この分は寄与分として認められるでしょう。
料理を作ってあげるにしても、たまに足を運んで一回だけ料理を作るのは、「親類なら当たり前」ですが、泊まり込みでそれこそ仕事も休み、親のためにと何日も料理をして…という状況であれば寄与分としても認められるでしょう。

まとまらない場合…

 つまりは寄与分とは明確に定義されているものではないだけに、トラブルになりやすいのです。それもそのはず、他の相続人にとっては、寄与分を認めたら自分がもらえる遺産が少なくなってしまうのです。そのため、心情的には寄与分があるとは理解していても、本能的に「それとこれとは話が別」となり、トラブルになってしまうのです。
寄与分として認めてもらうためには、少々打算的ではありますが、どれくらいお金や手間暇をかけたのかを記録しておくべきです。領収書があれば当然残しておきましょう。また、もしも協議がまとまらなければ家庭裁判所での審判を仰ぐことになりますが、その際には記録や領収書の存在も大きくなります。
遺産目当てではないとしても、後々どのようなトラブルが待っているのか分かりません。「きっと分かってくれる」と思っても、いざ遺産を目の前にすると「取り分が減る」という考え方に至ってしまう人は多いので気を付けましょう。

筆者

小林 朋広
小林 朋広司法書士・行政書士
・兵庫県司法書士会所属/日本司法書士会連合会
・兵庫県行政書士会所属/日本行政書士会連合会
相続・遺言・登記・後見など司法書士(行政書士)が扱う業務は多岐に渡ります。普段の生活では耳馴染みもなく、初めて問題に対峙された時にどの様に対処をすれば良いか困惑されることも多いかと思います。士業という専門家として、「どうしたら分かりやすくお伝えできるだろうか」「ご希望に沿う形での解決は何だろうか」と日々考え、円滑な解決とともに、お客様に寄り添う司法書士(行政書士)でありたいと考えています。

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