正しい「遺産分割」とは
遺産を分割する方法は様々です。本当にその分割方法は正しいものなのか。おかしいのではないか?遺産分割案を見てそのように思うこともあるかもしれませんが、「正しい遺産分割」とは一体どのような方法なのでしょうか。
正しい遺産分割の定義とは
遺産分割に関して一般的な流れを話すと、まずは故人が勝手に決めるケースが圧倒的に多いです。生前のことを踏まえ、どのような形にするのか。そもそも、遺産とは故人が作ったものです。それをどのように分配するのかなど、個人の自由なのです。そこに正しいのかどうかなどの理屈はありません。
故人が遺言書で示した方法に、相続人のうちの誰が1人でも納得すれば、それもまた「正しい遺産分割」です。そこに納得出来ないからこそ「正しくないのではないか」との思いが渦巻くのですが、故人の手法、そしてその手法を相続人の誰か1人でも受け入れればその瞬間、遺産分割は終了です。
納得出来ないからこそ
但し、全員が納得出来ない場合は話が別です。納得出来ないのであれば遺産分割はいわば「やり直し」が可能です。
ではその場合、どのような法的根拠によって遺産分割を行えば良いのでしょうか。遺産分割もまた、法的なものを無視出来ないだろうとは誰もが思っていることかとは思いますが、この場合の「正しい遺産分割」は、法的見地こそ「相続人の納得」なのです。
分配比率や平等にといったことが法律で明記されているのではなく、相続人すべてが同意すれば良いのです。
相続人すべての同意が「正しい遺産分割」
相続人すべてが同意すれば、どのような分配比率でも良いのです。相続人が3人いるとします。普通に考えたら3分の1ずつの分配こそ正しい遺産分割なのだろうと思うでしょう。
ですが、3人全員が同意する分配方法こそ、正しい遺産分割なのです。
極端な話ですが、10:0:0という極端な分配比率であったとしても相続人が全員納得していれば「正しい遺産分割」なのです。逆に言えば、どれだけ細かく分配し、出来る限り平等にと思って分配したとしても誰か1人でも納得しなければ残念ながら「正しい遺産分割」ではないのです。
正しい遺産分割とは分割方法そのものではなく、どれだけ相続人が納得するかにかかっていますので、相続人同士のコミュニケーションが大切です。1人でも納得していないとなれば遺産分割としては認められません。遺産分割をするのであれば1人でも認めていれば良いことになるので逆になりますが、相続人すべての同意を持って新しい手法でとなれば、結局は「全員の意志疎通」が大切なのです。
筆者
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・兵庫県司法書士会所属/日本司法書士会連合会
・兵庫県行政書士会所属/日本行政書士会連合会
相続・遺言・登記・後見など司法書士(行政書士)が扱う業務は多岐に渡ります。普段の生活では耳馴染みもなく、初めて問題に対峙された時にどの様に対処をすれば良いか困惑されることも多いかと思います。士業という専門家として、「どうしたら分かりやすくお伝えできるだろうか」「ご希望に沿う形での解決は何だろうか」と日々考え、円滑な解決とともに、お客様に寄り添う司法書士(行政書士)でありたいと考えています。
司法書士・行政書士に関する業務
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