特別縁故者とは?
相続の問題は多々ありますが「相続人がいない」というケースも考えられるのではないでしょうか。特に近年は少子高齢化で子供がいない、相続人がいない…そのようなケースも十分に考えられるのですがその場合、故人の遺産はどうなるのでしょうか?
基本的に、国に帰属します
結論から言うと、相続人のいない故人の遺産は国庫に帰属します。
つまり、国に委ねられてしまうのです。
それまで必死に貯めたものの、国のものになる…。とはいえ、相続する人間がいなければそれもまた、仕方ないことなのかもしれません。但し、国に帰属させるのではなく、親類縁者ではないけれど遺産を相続させることができるケースもあります。それが特別縁故者の制度です。
特別縁故者とは?
特別縁故者とは簡単に言えば「法律的には家族ではないものの、故人と共に生活を送るなど、ほぼ親戚、あるいは身内として生活を送った人間」が認められます。一般的によく見られるケースとしては婚姻関係にはないものの、内縁の妻として故人の身辺の世話をしていた女性などです。結婚をしていない以上、シビアな言い方ですが「他人」でしかありません。
ですが、長年生活の世話をしてくれたということは、制度的に夫婦にはなっていないものの、実質的には夫婦と考えて差し支えないものです。
そのような相手は特別縁故者として認められ、財産を相続する権利が生まれます。他に相続人がいない場合には、相続財産をもらえる可能性も出てきます。
特別縁故者になるためには
特別縁故者になるためには家庭裁判所に申し立てを行うことになるのですが、その際は相続財産分与の請求となります。「特別縁故者」として認めてもらうというよりは、相続財産をもらえるのが特別縁故者だと考えると分かりやすいでしょう。家庭裁判所の申請が適正なのかどうかを考えます。
認められたケース
特別縁故者として認められたケースとしては、過去の判例を見てみると、20年以上生活を共にした内縁の妻は特別縁故者として認められています。また、30年以上共同生活を送った養子や故人と同居して家事一切を全て行ったり、あるいは一緒に仕事をこなしたりした叔母や故人の妻の兄の妻などが認められています。
つまり、数年程度一緒に住んだ程度では特別縁故者としては認められないケースが多いので、特別縁故者になりたいからという理由だけで共同生活を送るのは難しいでしょう。遺産相続のためではなく、身を案じた人間が得られるものだと考えると分かりやすいのではないでしょうか。
筆者
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・兵庫県司法書士会所属/日本司法書士会連合会
・兵庫県行政書士会所属/日本行政書士会連合会
相続・遺言・登記・後見など司法書士(行政書士)が扱う業務は多岐に渡ります。普段の生活では耳馴染みもなく、初めて問題に対峙された時にどの様に対処をすれば良いか困惑されることも多いかと思います。士業という専門家として、「どうしたら分かりやすくお伝えできるだろうか」「ご希望に沿う形での解決は何だろうか」と日々考え、円滑な解決とともに、お客様に寄り添う司法書士(行政書士)でありたいと考えています。
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