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遺言は従わなければならないのか

いくら遺言だからといって、納得出来ないこともあるのではないでしょうか。不公平な遺産分配方法では、「おかしい」と感じることもあるかと思いますが、その場合は打つ手はないのでしょうか。

遺言と相続人の意志決定

遺産分配に関しては納得出来ないと感じることがあっても不思議ではありません。
むしろ遺産分配は、故人が独断で決めた場合が多いので不公平だったり、あるいは生前の故人との距離感によって相続が変わったりするのは当然です。故人が存命中に相続人全員との相談をしたのであれば誰もが納得出来るかと思いますが、そのようなケースの方が稀なのではないでしょうか。
そのため、どうしても納得出来ないケースが出てしまうのも致し方ない部分ではあります。遺産分配に納得いっていないとはいえ、相続人の1人でも納得すれば成立です。例えば兄弟が3人いるとします。故人の妻も存命であれば4人の相続人がいますが、そのうちの1人でも納得するといえばそれで決定です。他の3人が納得いかないのでもう一度遺産分配を話し合おうと提案し、あるいは3人だけが意気投合して「やり直そう」と同意したとしても、1人でも納得し、故人の遺言通りの分配方法で良いとすれば、その時点で成立です。この点は残念ながら多数決の原理ではなく、1人でも賛成すれば決まりのルールです。ただし、遺産を1人しか継がないようなケースで、その相続人が「みんなで分けよう」と思った場合など、相続者1人で決められるような案件は例外です。

遺言執行者の存在

では相続人の全員が反対すれば遺産分配に関して「やり直し」が出来るのかというと、これもまた微妙です。
というのは、遺言に関しては遺言を適切に執行されるよう見届ける「遺言執行人」が定められているのです。遺言に対しての再考をと思ったら、相続人だけではなく遺言執行者の同意も得なければならないのです。つまり、遺言に納得出来ないと思ったら相続人全員、そして遺言執行者すべての同意があれば遺言に従う必要がなくなるのです。
相続人が多くなればなるほど、意見の食い違いはどうしても出てくるものです。納得する人間も出てくれば、納得出来ないという人も出てくるでしょう。ですが1人だけでも同意、あるいは納得すれば遺言は執行されますので、相続人たちの意志疎通もまた、大切です。いわば、1人だけ抜け駆けするようなことになったとしても遺言は執行されることになるのです。それを防ぐためには、密なコミュニケーションがもとめられるのです。

筆者

小林 朋広
小林 朋広司法書士・行政書士
・兵庫県司法書士会所属/日本司法書士会連合会
・兵庫県行政書士会所属/日本行政書士会連合会
相続・遺言・登記・後見など司法書士(行政書士)が扱う業務は多岐に渡ります。普段の生活では耳馴染みもなく、初めて問題に対峙された時にどの様に対処をすれば良いか困惑されることも多いかと思います。士業という専門家として、「どうしたら分かりやすくお伝えできるだろうか」「ご希望に沿う形での解決は何だろうか」と日々考え、円滑な解決とともに、お客様に寄り添う司法書士(行政書士)でありたいと考えています。

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