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ペットに財産を残すことはできる?

ペットには遺産を相続する権利がない

ペットとの関係が深く、自分の子供のように大切にしている人たちもいます。このような人たちにとっては、ペットも自分の家族の一員であるため、ペットに財産を残したいという気持ちになるものです。

海外では、飼っていたペットに莫大な遺産を相続させるという遺言書を作成し、実際に相続させているという事例もあります。日本で同じように、ペットに遺産を相続させることができるのでしょうか?

結論から申し上げますと、日本ではペットに遺産を相続させることはできません。

遺産を相続するためには、法律上権利義務の主体となる資格(権利能力)が必要です。

例えば銀行口座を持つためには、この権利能力が必要になるため、ペットが銀行口座を持つことはできません。もちろんペットなどの動物が不動産を取得したり、それを管理したりすることも不可能です。このような理由で、ペットは遺産を相続することができません。

遺言書を作成し、○○銀行の普通口座番号○○○に入っている1,000万円を、ペットの犬に相続させると書いたとします。遺言書の書き方としては問題がなくても、ペットの犬が遺産を相続することはできず、この1,000万円は法定相続人の遺産分割協議の対象となります。

これは法律で決まっていることであり、故人の願いがどのようなものであっても、ペットに遺産を相続させることはできません。

自分が亡くなった後に、ペットが幸せに暮らしていくために、どんな事ができるのでしょうか?

負担付遺贈を利用する

ひとつ目の方法は、「遺贈」を利用して、ペットの世話をする人に遺産を与えることで、ペットに間接的に遺産を残すことです。

遺産は、家族に相続させる以外にも、他人に贈与することが可能です。生前に贈与することとは別に、遺言書によって贈与することを「遺贈」と言います。

この遺贈の方法は、「負担付遺贈」と呼ばれ、遺産を渡す代わりに、遺贈対象者に特定の負担を課すというものです。負担となる条件は、法律上問題がなければどのようなものでも良いので、「ペットの飼育をする代わりに遺産から○○万円を遺贈する」という形でも問題ありません。

逆に言えば、ペットの飼育の義務を果たさないなら、遺贈しないということになります。遺贈される側は、遺産を受け取ったからには法的にペットの飼育義務が生じます。

とはいえ、動物が嫌いな人や、動物の世話のできないような人を遺贈対象者にしてしまうとトラブルになるので、動物をかわいがってくれるような人を選びましょう。

遺贈の内容に同意するかは受贈者(遺贈を受ける人)の自由ですので、ペット飼育の義務を負いたくないとして、遺贈を受けることを断られると、負担付遺贈をした意味がなくなるといったことにもなりかねません。

また、遺贈対象者が負担(今回の例では適正なペットの飼育)を守ってくれるかはわかりません。そこで、監督者とし遺言執行者を遺言書で決めておくのも一つの手です。

さらに、他の相続人に負担付遺贈の内容を理解しておいてもらうことも大切です。他の相続人に遺留分を請求されると、費用が足らなくなり、ペットの適正な飼育を続けることが困難になる場合もあるからです。

負担付死因贈与契約を利用する

死因贈与とは、財産を贈与する側の死亡により効力が発生する贈与契約です。

上記の負担付遺贈と異なる点は、飼い主の生前に、飼い主の死後にペットの世話を引き受ける人と双方合意の上で行う「契約」だということです。

契約ですから、どちらか一方の意思では契約内容の破棄・変更を勝手にすることはできません。

当事者双方の話し合いで、飼い主死後のペットの引渡し方や飼育方法(ペットの預け先等を含む)、ペットが亡くなったときの取り決め、対価として受け取る財産などの内容を、契約書として作成します。

ペット信託を利用する

上記の「負担付遺贈」と「負担付死因贈与契約」のいずれも、飼い主が亡くなった後の準備となります。飼い主の生前に、事故や病気で身体が不自由になり、ペットの飼育が難しくなった場合のことも考えておくべきでしょう。

そこで使える1つの方法は、「信託」を利用する方法です。

信託とは、契約に基づいて自分の財産を信託銀行に預け、一定の目的のためにその財産を管理・処分させることです。

特にペットのために行う信託を「ペット信託」と言い、このところ話題になっています。

信託銀行に財産を預け、「ペットの世話のために信託銀行に預けている財産を、飼育の報酬として○○が受け取ってよい。また、飼育にかかる費用についても財産から支払う」というように書きます。このようにすることで、信託契約書に記載された人物が信託銀行のお金を報酬として受け取りながら、ペットの世話をしてくれます。

あくまで、ペットの世話をしていることが信託銀行のお金を受け取る条件になるため、世話をしないならその遺産を使うことはできなくなるということです。

まとめ

負担付遺贈・負担付死因贈与契約・ペット信託のいずれも、あとあと問題が発生しないような内容で書類にしておくことが必要になります。心配であれば法律の専門家に見てもらうようにしましょう。

以上のように、残念ながら日本の法律では、ペットに遺産を相続させることはできません。

しかし、遺贈や贈与・信託を賢く使うことによって、大切なペットがきちんとした世話を受け続けられるように道を整えてあげることができます。

筆者

小林 朋広
小林 朋広司法書士・行政書士
・兵庫県司法書士会所属/日本司法書士会連合会
・兵庫県行政書士会所属/日本行政書士会連合会
相続・遺言・登記・後見など司法書士(行政書士)が扱う業務は多岐に渡ります。普段の生活では耳馴染みもなく、初めて問題に対峙された時にどの様に対処をすれば良いか困惑されることも多いかと思います。士業という専門家として、「どうしたら分かりやすくお伝えできるだろうか」「ご希望に沿う形での解決は何だろうか」と日々考え、円滑な解決とともに、お客様に寄り添う司法書士(行政書士)でありたいと考えています。

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