相続の対象となるのはどんな財産?
「財産相続」と聞けば、莫大な遺産が手に入る…とイメージする人が多いと思いますが、遺産とは必ずしもプラスのものだけではありません。では一体何が「遺産」なのか。相続の対象となるのはどのようなものなのかを見てみましょう。
プラスの財産とマイナスの財産の存在
テレビや映画でも遺産をテーマにしたものがあります。
莫大な遺産を残して亡くなってしまったので、相続をめぐって骨肉の争いが繰り広げられる…。
テーマとしては珍しくないのですが、遺産はすべてプラスのものとは限りません。
例えばですが、家や土地といった不動産や、宝石、美術品、自動車などの動産。そして現金や貯金、有価証券や貸付金と言った債券に、あればの話ですが特許などの知的財産。
これらも相続対象になるプラスの遺産になります。
一方で、ローンの残債、借金、といったマイナスの資産もまた、相続対象になります。つまり、プラスの資産があまりないものの、借金が多く残されている場合、遺産を相続したらむしろ借金を相続してしまうことになってしまうのです。但し、相続放棄という手法もありますので、プラスとマイナスを計算し、マイナスの財産の方が多いようであれば、相続は放棄した方が得策です。
相続出来ない財産
故人が残したものはすべてが遺産ではありません。「祭祀財産」と呼ばれているもの。位牌、仏壇、墓地、墓石。
これらは相続の対象外となります。祭祀承継者を決め、その人が引き継ぐ形になります。
また、生命保険金は受取人が指定されているかと思いますが、故人であればそちらも相続財産となるものの、 受取人が健在であれば固有財産となります。
但し、相続の対象となりますので注意が必要です。他にも死亡退職金、遺族年金、これらもまた、相続の対象とはなりません。
相続放棄する場合
プラスよりもマイナスの遺産の方が多い場合などは相続放棄することによって、財産を受け継がなくても良くなるのですが、一点だけ注意が必要です。相続放棄の申し立てが出来るのは相続開始から三か月以内になります。そのため、亡くなってからダラダラと決めかねて…といったことは出来ません。相続放棄の申し立てを行わない場合、相続をするという意思表示となります。そのため、どれだけ残債があっても結局は自分自身が継がなければならなくなります。
三か月という時間はとても短いので、遺産のことが分かっていないとつい見落としてしまいがちなものなのですが、三か月を過ぎたら性質のいかんを問わず、継がなければならなくなってしまいます。気を付けましょう。
筆者
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・兵庫県司法書士会所属/日本司法書士会連合会
・兵庫県行政書士会所属/日本行政書士会連合会
相続・遺言・登記・後見など司法書士(行政書士)が扱う業務は多岐に渡ります。普段の生活では耳馴染みもなく、初めて問題に対峙された時にどの様に対処をすれば良いか困惑されることも多いかと思います。士業という専門家として、「どうしたら分かりやすくお伝えできるだろうか」「ご希望に沿う形での解決は何だろうか」と日々考え、円滑な解決とともに、お客様に寄り添う司法書士(行政書士)でありたいと考えています。
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